資生堂、唇表面における水分量の可視化・定量化に成功 ~高いスキンケア効果を併せ持つ口紅など高付加価値の提供を実現する技術~

スキンケア・化粧品・ヘア用品

 資生堂は、独自に開発した「近赤外カメラシステム」※1をさらに発展させ、唇表面における水分量の精細な分布を可視化し、水分量を定量評価することに成功しました(図1)※2。これまで唇の水分量は、肌の水分量の測定に活用される接触型のデバイス※3を用いて測定することが一般的でしたが、立体的な形状かつ狭い面積の唇の水分量を精度よく測定することは容易ではなく、唇全体の状態を細かく観察することはできませんでした。

また、本技術を活用し、保湿ケアによる唇表面の乾燥改善効果を確認したところ、水分量の微細な変化を捉え、人の実感に近い形で水分量を定量評価できることがわかりました。今後、唇表面のうるおい状態を解析する新たな技術として、高いスキンケア効果を併せ持つ口紅など新たな製品・サービスの開発へ応用していきます。

※1皮膚や毛髪の状態を示す基本的かつ重要な指標である水分を、面でイメージング(画像化)できる、近赤外光を用いた測定機器

※2特許出願中(特開2021-171365)

※3プローブ(機器の先端部分)を皮膚表面に接触させ、水分量と相関する静電容量を測定する機器

《研究の背景》

 従来の一般的な測定方法では、接触型のデバイスのプローブ(機器の先端部分)を唇表面に接触させて水分量を計測するため、凹凸のある形状の唇では計測のバラつきが大きく、精度よく測定することが困難でした。また、得られるデータはプローブを接触させた場所の数値情報だけであり、唇全体の状態を細かく観察することはできませんでした。

これまで当社は、波長800~2500 nmの近赤外光の吸収を可視化する近赤外カメラシステム(図2)を独自に開発し※4,5,6、肌や毛髪の水分量を測定する技術として、広く製品開発に活用してきました。今回、唇の水分量の測定に、非接触で広範囲の水分量を簡便に測定できるこの独自技術を応用できると考え、研究に取り組みました。

※4 顔の水分量が一目瞭然!のカメラシステムを開発https://corp.shiseido.com/jp/rd/ifscc/21.html?rt_pr=trp15

※5 資生堂、国際化粧品技術者会(IFSCC)で世界最多、通算 18 回目の「最優秀賞」を受賞(2013年)

https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000001592/1592_b2y58_jp.pdf?rt_pr=trp15

※6資生堂 江川麻里子主任研究員 令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で科学技術賞(研究部門)を受賞

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003382&rt_pr=trp15

《肌の水分量を測定する独自の近赤外カメラシステムを唇へ応用》

当社の近赤外カメラシステムの機材を唇に合わせてカスタマイズすることで、唇の水分量を測定できるようにしました。新たに開発した技術を用いて、乾燥により荒れている唇を観察した結果、水分量を精度よく可視化・定量評価できるようになり、唇に水分量のムラが存在することが明らかになりました(図1右)。次に、保湿ケアによる唇の乾燥改善効果を調べました。保湿ケア前には下唇で特に乾燥が目立つ状態でしたが、保湿ケアにより乾燥が改善し、2週間後には全体が均一に潤った状態に変化していることが視覚的・定量的に確認できました(図3)。さらに、本技術により定量された水分量の変化は、従来一般的に用いられてきた接触型のデバイスで測定したものと比較して、被験者自身が実感しているうるおい感や乾燥改善、ふっくら感の変化と近い傾向でした(図4)。このことから、本システムは、細かい水分量分布の測定が可能になるだけではなく、人の実感に近い数値が得られる、優れた測定技術であることが分かりました。

《近赤外カメラシステムをスキンケア効果の高い口紅の開発へ応用》

 口紅はメイクアップ効果とスキンケア効果の両方が求められる製品です。しかし、発色やつやといったメイクアップ効果は検証が比較的容易である一方、スキンケア効果の検証には大規模な試験が必要で、長い時間がかかるものでした。今回新たに開発した技術は、簡便かつ正確に唇の水分量を測定できるため、効率的に大規模な試験を展開することが可能です。これにより、様々な成分や試作品のスキンケア効果を検証することが容易になり、より効果的で、付加価値の高い製品開発に繋がります。

実際に、より高いスキンケア効果をもつ口紅の開発に向けて、当社が行った試験では、本技術を応用することにより、口紅の連用によって幅広い年齢層の方の唇で水分量の改善を確認することができました(図5)。

《今後の展望》

 今回、資生堂が長年の肌や毛髪の研究の中で開発・進化させてきた独自技術である近赤外カメラシステムをさらに発展させることで、これまで困難であった唇の水分量の分布を精度よく可視化・定量評価することに成功しました。この技術を応用することで、さらに高いスキンケア効果を併せ持つ口紅の開発など、これまで以上にお客さまに満足いただける高付加価値な化粧品の開発を加速し、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現を目指します。

R&D戦略について:

R&D戦略3本柱の1つである「Skin Beauty INNOVATION」のもと、血管やリンパ管、免疫、神経など、皮ふ内部の状態と肌との関連を明らかにする「皮ふ基盤」領域の研究を加速すべく、皮ふの計測・評価法を進化させています。

・2022年統合レポート(ビューティーイノベーション)

https://corp.shiseido.com/report/jp/2022/value_creation/innovation/?rt_pr=trp15

・キーワード

Skin Beauty INNOVATION、皮膚基盤、皮ふ計測、リップ

▼ ニュースリリース

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003695&rt_pr=trp15

▼ 資生堂 企業情報

https://corp.shiseido.com/?rt_pr=trp15

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